【スペルミジン】〜免疫を若返らす救世主?!〜
閲覧数: 73【まとめ】 忙しい人への30秒超訳
- 基礎:スペルミジンはミトコンドリアを維持するのに必須のポリアミンの一種!
- ミトコンドリアは私達の細胞のエネルギーを作る工場のような超重要なところで、その機能を維持してくれる物質です!
- ミトコンドリアは私達の細胞のエネルギーを作る工場のような超重要なところで、その機能を維持してくれる物質です!
- 効果:「肌」や「髪」が綺麗になり、「筋肉」の低下が抑えられます!
- オートファジーという老廃物を処理する効果や、体の炎症や酸化を抑えてくれます!他にも効果はたくさん!
- オートファジーという老廃物を処理する効果や、体の炎症や酸化を抑えてくれます!他にも効果はたくさん!
- 実践:「納豆」や「マッシュルーム」を食べましょう!
- スペルミジンの摂取には、これが豊富に含まれている、納豆やマッシュルームがおすすめです!
- サプリは効果は実証されていないようですので、これからに期待です!
【1. 基礎知識】 そもそもスペルミジンって何?
- スペルミジン(spermidine:SPD)とは、ミトコンドリア(という私たちの細胞のエネルギーを作っている工場のような場所)の機能を維持するのに必須のポリアミンという物質の一種です。
- オートファジー効果(細胞内の老廃物や有害物質、色々な組織をきっちり回収して、新しいものに作り変えること)や、老化や病気につながる体の中の炎症や、酸化を抑える効果が期待できます。その結果、アンチエイジングに大事な役割を果たしている可能性があることが、最新の研究でわかってきています。
- スペルミジンの摂取経路は3種類あり、
(1)細胞の中で作られる、
(2)腸内細菌によって作られる、
(3)食事によってとることができる、ですが、主に(3)の食事によって摂ることができます。 - スペルミジンは18-20歳から減りはじめてしまい、基本的には加齢と共に濃度が減っていくと言われています。
【 2. 効果】 ズバリ、どんなアンチエイジングができるの?
[肌] 皮膚の組織を整え綺麗な肌に!
- “Spermidine-induced recovery of human dermal structure and barrier function by skin microbiome”という2021年の論文(※1)では、スペルミジンによって、老化した細胞のエラスチン(肌のハリに欠かせないタンパク質)、脂質の合成を促進し、またコラーゲンの産生を促すことによって、皮膚の組織やバリア機能の改善につながる可能性が示唆されています。
綺麗な肌になることはアンチエイジングの観点だけでなく、美容面からもとても良いことですよね。
[筋肉] 筋力の低下を抑える!
- オートファジー(細胞内の老廃物や有害物質、色々な組織をきっちり回収して、新しいものに作り変えること)を高め、アポトーシス(細胞が死んでしまうこと)を防ぐことにより、筋肉が少なくなってしまうのを防ぐことができます。
加齢とともに筋肉は落ちてしまうので、筋肉をしっかり保つことは、若くいるためにとても大切な要素です。
[寿命] スペルミジンを積極的に食事で摂ると死亡率が低下した!
- 2022年のアメリカの”The association of dietary spermidine with all-cause mortality and CVD mortality: The U.S. National Health and Nutrition Examination Survey, 2003 to 2014”という論文(※2)を紹介します。
23894人を対象にした研究で、2003年から2014年まで追跡調査をしています。
結論として、食事からしっかりスペルミジンをとっている人は、全然とっていない人と比較して、なんと心臓血管系(心筋梗塞など)での死亡率と、トータルでの全死亡率が、どちらも低かったという驚きの結果が出ています。 - 次に2018年の”Higher spermidine intake is linked to lower mortality: a prospective population-based study”という論文(※3)を紹介します。
829人、45-84歳が対象となっています。1995-2015年まで追跡していて、食事からスペルミジンをとっている群をよくとっている人たち、まずまずとっている人たち、あまりとっていない人たちの3つに分けて調べました。
結果として、スペルミジンをとっている人たちは、あまりとっていない人たちに比べて死亡のリスクが低かったという結果になっています。
5.7歳相当の違いがあったので、これはかなりの違いといえます。
[臓器] 心臓のポンプ機能や免疫力を改善?!
- マウスの研究(※4)ではありますが、スペルミジンが心臓の動きを改善したという研究データがあります。
心臓はポンプの役割をしていて、全身に血を運んでいるのですが、年を取るとともに、その力は落ちてきてしまいます。その動きを改善することができるスペルミジンは、心臓に関しても、アンチエイジングの役割を果たせる期待が高いと言えます(人に対しては未実証)。 - 老化と共に、免疫にとって重要なT細胞(感染した細胞やがん細胞を殺傷し排除する細胞)の機能は低下してしまいます。このT細胞をスペルミジンを投与することによって、若返らせることができる可能性がマウスの実験において示唆されています(人に対しては未実証)。(※5)免疫力をしっかりと維持することも、アンチエイジングにおいてとても重要です。
[脳] 認知機能の低下を防止?!
- スペルミジンの効果として脳に直接作用することも期待されており、物事を認識したり、行動する力を上げる可能性が示唆されています。
- 2021年の”Dietary spermidine improves cognitive function”という論文(※6)では、食事によるスペルミジンを摂取していたマウスは、海馬(脳の中の記憶に関わっている場所)と、ミトコンドリア(我々のエネルギーを作り出しているもの)の機能をあげたという結果が出ています(人に対しては未実証)。
基本的に加齢とともに脳は小さくなり、機能も落ちていきますが、食事によりそれを防止することができることが期待できそうです。
【 3. 実践アドバイス】 結局、何をすればいいの?
[食事] 納豆・マッシュルームが特にオススメ!
- 先ほどのお話した通り、スペルミジンは主に食事から摂ることができます。
- 特に納豆は1gあたり56μg、マッシュルームは1gあたり120μgと、スペルミジンが含まれている量が多く、おすすめです。
- それ以外の食品でも、豆腐、アーモンド、カシューナッツ、ピスタチオ、エリンギあとはブロッコリーカリフラワーほうれん草アスパラガス、チーズなど、肉魚などにも含まれているので、積極的に取り入れましょう。
[サプリメント] まだまだ今は期待できない
- 2018年の”Safety and tolerability of spermidine supplementation in mice and older adults with subjective cognitive decline”という論文(※7)を紹介します。
スペルミジンのサプリメントの効果と安全性を調べた研究です。3ヶ月間人間に投与したところ、結局安全性は問題なかったのですが、血液中の濃度は変わらなかったという結果になってしまいました。あくまでこの研究から言えることですが、つまりサプリメントは現状効果はなかったと言えます。 - このことから、当面スペルミジンはできれば食事から摂ることをおすすめします。
参考・引用
※1
Spermidine-induced recovery of human dermal structure and barrier function by skin microbiome, Gihyeon Kim et al Communications Biology volume 4, Article number: 231 (2021)
https://www.nature.com/articles/s42003-020-01619-4
※2
The association of dietary spermidine with all-cause mortality and CVD mortality: The U.S. National Health and Nutrition Examination Survey, 2003 to 2014, Huanyu Wu et al Front Public Health 2022 Sep 28
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/36249217/
※3
Higher spermidine intake is linked to lower mortality: a prospective population-based study Kiechl Stefan et al The American Journal of Clinical Nutrition Volume 108, Issue 2, August 2018
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0002916522029306?via%3Dihub
※4
Cardioprotection and lifespan extension by the natural polyamine spermidine: Tobias Eisenberg et al Nat Med 2016 Dec
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/27841876/
※5
Spermidine activates mitochondrial trifunctional protein and improves antitumor immunity in mice:MUNA AL-HABSI et al SCIENCE 28 Oct 2022
https://www.science.org/doi/10.1126/science.abj3510
※6
Dietary spermidine improves cognitive function. Schroeder et al., Cell Reports 35, 108985, 2021
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/33852843/
※7
Safety and tolerability of spermidine supplementation in mice and older adults with subjective cognitive decline; Claudia Schwarz et al Aging (Albany NY). 2018 Jan
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5807086/